大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和37(あ)2469 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

弁護人中島達敬、同内藤功の上告趣意第一点は、違憲(二八条違反)をいうが、

公共企業体等労働関係法(以下公労法と略称する。)一七条一項が憲法二八条に違

反するものでないことは、当裁判所の判例(昭和二六年(あ)第一六八八号昭和三

〇年六月二二日大法廷判決―刑集九巻八号一一八九頁、昭和三九年(あ)第二九六

号昭和四一年一〇月二六日大法廷判決―刑集二〇巻八号九〇一頁)とするところで

あるから、所論は採ることができない。

同第二点(上告趣意補充第二点を含む。)は、事実誤認の主張であり、同第三点

(上告趣意補充第三点を含む。)は、量刑不当の主張であつて、いずれも上告適法

の理由に当らない。

検察官の上告趣意第一ないし第五について。

所論は、原判決が、公労法一七条に違反する争議行為について、労働組合法(以

下労組法と略称する。)一条二項の準用があるとしたのが、所論引用の各高等裁判

所判例に違反するものであり、かつ、法令の解釈を誤つたものであるというのであ

る。

原判決が、公労法一七条に違反してなされた争議行為に対し、労組法一条二項の

準用がある旨の判断をしたこと、およびこの判断が所論引用の昭和三五年一月一二

日福岡高等裁判所宮崎支部判決、昭和三六年一一月六日広島高等裁判所判決および

昭和三七年八月七日福岡高等裁判所判決と相反することは、所論のとおりである(

なお、所論引用の昭和三五年三月二日福岡高等裁判所判決は、右両法条の関係につ

いて、所論のような判断を示しているものとは認められないから、本件に適切でな

い。)。しかし、公共企業体等の職員の行なう争議行為は、公労法一七条に違反す

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るものではあるが、なお、労組法一条二項の適用があるものであることは、当裁判

所の判例(昭和三九年(あ)第二九六号昭和四一年一〇月二六日大法廷判決、刑集

二〇巻八号九〇一頁)の判示するとおりである。したがつて、所論引用の右各判例

はこれによつて変更されたものであり、原判決の判断は、当裁判所の右判例と同趣

旨に出でたものとして維持すべきものであるから、判例違反の論旨は理由がなく、

その余の論旨は、単なる法令違反の主張であつて、上告適法の理由に当らない。

また、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて、同四〇八条により、裁判官下村三郎の意見があるほか、裁判官全員一致

の意見で、主文のとおり判決する。

裁判官下村三郎の意見は、次のとおりである。

検察官の上告趣意のうち、判例違反の論旨について。

原判決が、公労法一七条に違反してなされた争議行為に対し労組法一条二項の準

用がある旨の判断をしたことおよびこの判断が所論引用の各高等裁判所の判決(前

記除外するものを除く。以下同じ。)と相反することは、所論のとおりである。

右につき、公労法一七条に違反してなされた争議行為については労組法一条二項

の準用ないし適用はないものと解すべく、適用ありとする前記引用の昭和四一年一

〇月二六日大法廷判決の判旨には賛成することができない。その理由は、右大法廷

判決における奥野健一、草鹿浅之介、石田和外三裁判官の反対意見と同趣旨である

から、ここにこれを引用する。

そして、右見解によれば、前記各高等裁判所の判決の判旨は、正当であつて、原

判決は、これと相反する判断をしたこととなる。しかし、原判決は、結局、被告人

の争議行為を違法なものとし、刑法二三四条の威力業務妨害罪の成立を認めたので

あつて、その科刑も相当と認められるから、右判例違反は、判決に影響を及ぼさな

いことが明らかというべく、論旨は理由なきに帰する。

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昭和四二年九月一九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 田 中 二 郎

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 下 村 三 郎

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